知り合いの女子

こともあろうに吾輩が知り合いの女子に告ってしまった。
その女子がまん丸い目で吾輩をぎょろりと見上げ、
無言で足早に去って行った。
うーむ、どうして知り合いの女子などに告ってしまったのか。
吾輩の歳を考えれば、その悲劇の結末は見え見えなのに。
しかも知り合いの女子だとは。
心がざわつく。
知り合いの女子は知り合いの男に相談するだろう。
その知り合いの男は、吾輩の知り合いの男だ。
告るに至った動機はまったく思い当たらない。
「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」
「だって、好きなんでしょ」
吾輩の心ではなく、吾輩の身体がつぶやく。
心は知らないが、身体はちゃんとご存じ…?
「自分の心は騙せても、自分の身体は騙せないのよ」
な、なんですと…。
目が覚めた。
残像感が残る夢
知り合いの女子はどうしているだろうか。