そして大海へ

この滝の源流が「男滝」と「女滝」とは、何と始原的だろう。
あまりにも官能的だ。
そして、激しくも聖なる流れは、実に麗しく下流に向かう。
まるで身体の奥深くへと沈潜していくかのようだ。
流れに身を任せて浮き身の姿勢で流れていく。
力を入れてはいけない。
溺れるのはごめんだ。脱抑制のフロー状態…。
後ろを振り返ってはいけない。
過去を見ようとすると、流れを止めることになる。
未来を過剰に心配してはならない。
先行きを不安に思えば、激流に飛ばされてしまう。
この流れの一瞬一瞬をいとおしみながら楽しむ。
そこで出会えた一人一人のすべての人と喜びを共にする。
温かい日差しのなかを悠々と流れていくのは最高だ。
でも、そんな日ばかりではない。
雨の日、強風の日、雪が降り寒さに震える日、
身はすくみ、心は穏やかでなく流れから這いあがりたくもなる。
それでも力を抜いて笑って流れていく。
母なる海、大海にそそぐという目的地、ゴールをめざして。