悪夢

  土砂降りの中
  アクセルを踏み続ける
  突然姿を現したのは
  靄に浮かぶ地獄の門
  どこでどう間違えたのか
  恐怖に身がすくむ
  戻るしかない
  ハンドルを捻じ曲げて
  地獄への道を逆流する
  気がつけば病院の入り口
  助かった…
  すがる思いで転がり込む
  心配そうに応対してくれる
  医師と看護師の若きペア
  血液検査と点滴をします
  溢れ出す血潮に顔を強張らせ
  こぼしちゃったと呟く医師
  もったいないですねと
  笑って応じる看護師
  全身に寒気が充満する
  寒いです
  そうですか…
  終っているのに誰も来ない
  ナースコールにすがる思い
  再び同じペアが現れる
  天空から見下すように
  どこも悪くないですよ