エポケー

何も考えないでおこう
難しい選択は
そう
エポケーって知ってる?
そう
エポケーでいこうよ
そう
判断しないってことかな
そう
エポケーでいこうよ
逃げてるって?
そうじゃないよ
逃げ切れないから
エポケーでいくのさ
そう
エポケーでいこうよ

金星とお月さん

金星とお月さんが大接近中!!
地べたに這いずりながら横たわるわが身だから
せめてこの天体ショーに見入るとするか…
わが身の意気地なさを嘆くのはよそう
金星とお月さんは粛々として何も語ってくれないが
なぜ愚かな道を歩み続けるのかなどと責めたりもしない
俺がどうあろうと
たとえ明日死亡予告を受けようと
そんなことはもちろんお構いなしだ

平凡な時に思う

平穏ではなく、平凡な時が流れていく。たまにはその一片を強く引っ張って口に含み、
心底味わってみたらどうなんだ。寄せては返すさざ波も、同じ波ではないのだよ。
一片、一片を抱き寄せ愛撫し、いさぎよく手放す…。たった一日っきりの稲妻のような
真実は、実に平凡な顔をしてやってくるのだから…。

窓を開ければ
そこには海はなかった
でも
いいじゃないか
私が海なのだから

知り合いの女子

こともあろうに吾輩が知り合いの女子に告ってしまった。
その女子がまん丸い目で吾輩をぎょろりと見上げ、
無言で足早に去って行った。
うーむ、どうして知り合いの女子などに告ってしまったのか。
吾輩の歳を考えれば、その悲劇の結末は見え見えなのに。
しかも知り合いの女子だとは。
心がざわつく。
知り合いの女子は知り合いの男に相談するだろう。
その知り合いの男は、吾輩の知り合いの男だ。
告るに至った動機はまったく思い当たらない。
「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」
「だって、好きなんでしょ」
吾輩の心ではなく、吾輩の身体がつぶやく。
心は知らないが、身体はちゃんとご存じ…?
「自分の心は騙せても、自分の身体は騙せないのよ」
な、なんですと…。
目が覚めた。
残像感が残る夢
知り合いの女子はどうしているだろうか。