母の声

母が他界してはや四年
時の流れの無常さとはかなさ
過去に留まることを許さない現実
持てない未来への希望


でも傍らで母が静かに笑っている
そんな感覚が日増しに増殖する


形ばかりで心が伴わない親孝行
帰省の時いつも駅まで迎えに来た母
別れの時いつまでも見送り続けた母
病弱だった息子を祈り続けて救った母
家出した息子に厳しさを失わなかった母
八十歳を過ぎてもあわれな息子に
一万円札を握らせた母


でも傍らで母が静かに笑っている
「今度こそほんまの親孝行しいや…」