歩く

  北風が吹く寒い街頭を
  わざとゆっくり歩く
  一歩ずつかみしめて歩く
  何のために
  目的などいらない
  歩くために
  ただゆっくり歩く
  
  北風が面白がって
  はやし立てる
  ヒューヒューと
  口笛を鳴らしながら
  あおり立てる
  それでも歩く
  わざとゆっくり歩く
  一歩ずつかみしめて歩く
  北風もあきらめたのか
  鳴りを潜め始める


  今度は不安や希望
  嫉妬や後悔
  色んな思いがまとわりつく
  それでも歩く
  わざとゆっくり歩く
  一歩ずつかみしめて歩く
  こちらは結構手ごわい
  しがみついてくる
  それでも振り払おうとせず
  ただ歩く
  歩くために歩く
  ゆっくりと
  一歩ずつ一歩ずつ